
玉造温泉
Tamatsukuri Onsen島根の千三百年の歴史を持つ温泉。出雲国風土記(733年)に「神の湯」として記される。
文字に残る古湯
玉造温泉は、八世紀の文献にその名が記される数少ない日本の温泉のひとつです。 七三三年に成立した『出雲国風土記』には、この湯に「一たび濯げば形容 端正しく、再び浴すれば万の病ことごとく除こる」と既に記されており、地元の人々 は古くからこの湯を「神の湯」と呼びならわしてきました。一三〇〇年以上の あいだ、玉造の湯は何より「美肌の湯」として読まれ続け、今日の温泉街の 打ち出し方もまさにその系譜の上にあります。
地名の由来もまた古層に属します。「玉造」とは文字通り玉を作るところを意味し、 弥生時代後期以降、背後にそびえる花仙山から良質の青瑪瑙が産出されたこと から、この地は勾玉製作の一大拠点として知られてきました。出雲の祭祀や朝廷 の宝器を支えた工人たちの里、それが玉造のもうひとつの顔です。
玉湯川沿いの小さな温泉街
現在の温泉街はこぢんまりと、松江市玉湯町を流れる玉湯川の両岸に旅館と 土産物店が並びます。湯はナトリウム・塩化物・硫酸塩を含み、肌にまとわりつく ような独特のとろみは、化粧水のような鉱物組成そのものに由来するといわれます。 川沿いには無料の足湯が点在し、川床には磨かれた瑪瑙の「願い石」が 据えられていて、参拝者がそっと手を触れて願をかける小さな所作も町の風物に なっています。
老舗旅館の文化もよく残されており、約十五軒ほどの宿が世代を重ねて営まれて います。県内の大きな観光地と比べると、しっとりとした文芸的な空気が漂います。
周辺の見どころ
玉造温泉は出雲文化圏の中心に位置しており、西へ車でおよそ一時間に出雲大社、 北には現存十二天守のひとつ松江城、すぐ目の前には夕景で名高い宍道湖が 広がります。温泉街の中では、勾玉信仰の核となる玉作湯神社が静かにたたずみ、 社務所近くでは自分で勾玉を磨いて作る体験工房も開かれています。
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参考・出典
- 玉造温泉旅館協同組合 公式サイトofficial— 地元旅館組合の公式情報。美肌の湯としての位置づけ、玉湯川沿いの温泉街構成、約15軒の旅館が並ぶ現在の姿を記載。
- 松江観光協会「日本最古の美肌温泉 玉造温泉」official— 松江市の観光協会公式ページ。733年の『出雲国風土記』に記された「神の湯」の記述を確認できる。
- 玉造温泉 Wikipedia— 花仙山の青瑪瑙、勾玉製作の伝統、玉作湯神社、ナトリウム・硫酸塩泉といった基本情報の参考。
- しまね観光ナビ「出雲のまがたまを知る・作る・巡る」— 島根県公式観光サイト。古代から伝わる勾玉文化と玉造の関わりを概説。
- Tamatsukuri Onsen, Wikipedia— 泉質(硫酸塩泉)、源泉温度約50〜70℃、松江市玉湯町という立地の補足情報。