十勝川温泉
と か ち が わ お ん せ ん

十勝川温泉

Tokachigawa Onsen
北海道北海道地方8施設

十勝川沿いの温泉地。世界でも珍しい「モール泉」(亜炭層から湧出する植物性有機物を含む湯)で美肌の湯として知られる。

泥炭の層を抜けてくる湯

十勝川温泉は、帯広市街から東へおよそ八キロ、十勝平野のただ中に湧きます。 明治の入植によって開けたこの土地でも、川辺の湯はもっと古く、アイヌの 人々の間では「薬の湯」として知られていました。文献に最初に現れるのは 明治七年(1874)の『北海道地誌要領』、そして近代的な温泉地としての歴史は 明治三十三年(1900)、地元の依馬嘉平が自噴する微温湯を木枠に引き、 近隣の人々と分かち合ったことに始まります。大正二年(1913)に手掘り掘削 で三十度前後の湯が噴き出すと、川沿いには旅館がならび、温泉場の体裁が 整っていきました。

この湯のなにより特徴的なところは、その水質です。数百万年前、十勝平野 は内海の縁にあった湿原で、堆積した植物が厚い泥炭層・亜炭層となって 地下に眠っています。岩盤で温められた地下水がこの植物質の層を抜けて 上がってくるとき、フミン質などの有機成分を溶かしこみ、植物性温泉 すなわちモール泉(ドイツ語の Moor「泥炭」に由来)となって地表に 現れます。世界でもごく稀な泉質で、二十世紀のあいだは十勝とドイツの バーデン・バーデンにしか湧かないと長く言われてきました。平成 十六年(2004)に北海道遺産「モール温泉」に選定され、観光協会は 道内随一の美人の湯としてこの泉を語り継いでいます。

茶褐色の湯、白鳥の冬

湯はうす茶から琥珀色、肌にわずかにとろみがあり、香りはほとんど立ち ません。観月苑、第一ホテル、ホテル大平原をはじめ、十五ほどの旅館が 十勝川の南岸にならび、同じ源泉を引いています。山に囲まれた湯治場では なく、冬には氷点下が続く北海道の農業平野のただ中という風景です。 十一月の末から三月にかけては川面にハクチョウが飛来し、宿から 歩いてゆける距離で群れを見ることができます。一九九二年に始まった **白鳥まつり「彩凜華」**は、毎年この季節、川辺を光で彩ります。

帯広の楽しみ

少し足をのばせば帯広の食と菓子があります。炭火で焼いた豚丼は 昭和初期にこの町で生まれた郷土料理ですし、帯広は六花亭の本拠地 としても知られる菓子の街です。夏には十勝平野に「北海道ガーデン街道」 の庭園群が花を開き、なかでも十勝ヒルズは宿から車で一時間ほどの 距離にあります。

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参考・出典

  1. 十勝川温泉観光協会 — モール温泉についてofficial地元観光協会の公式ページ。北海道遺産指定、泥炭・亜炭層の地質、美人の湯の由来。
  2. 十勝川温泉観光協会 公式サイトofficial加盟旅館一覧、音更町という所在地、周辺観光の出典。
  3. 北海道遺産協議会official平成16年(2004年)選定の北海道遺産「モール温泉」の根拠。
  4. 音更十勝川白鳥まつり — Japan Travel冬の白鳥飛来と1992年から続く白鳥まつり「彩凜華」の参考。
  5. 十勝川温泉 観月苑 — 天然モール温泉旅館側からみたモール温泉の説明。化粧水のような肌触りの記述。