湯の川温泉
ゆ の か わ お ん せ ん

湯の川温泉

Yunokawa Onsen
北海道北海道地方4施設

函館の海辺の温泉郷。350年の歴史を持つ塩化物泉。津軽海峡を望む宿が並ぶ。

木こり、千勝丸、そして松前の殿様

伝承では、開湯は享徳二年(1453年)にさかのぼります。木こりが河口近くに湧く湯で傷ついた腕を癒したのが始まりとされ、その人が刻んだ小さな薬師如来と祠が、いまの湯倉神社の前身となりました。文字に残る歴史は二百年後、承応二年(1653年)にひらきます。重い病にあった松前藩主の世嗣・千勝丸(のちの松前高広)が、母・清涼院の夢のお告げに従ってこの湯に運ばれ、まもなく全快しました。藩はその礼として知内産の黄金で鋳た薬師像と鰐口を奉納し、以後、湯の川は松前の殿様の御湯として知られるようになります。地名そのものはさらに古く、アイヌ語の**「ユ(湯)・ペツ(川)」**に由来すると伝えられています。

いま私たちが目にする温泉街の姿は、おおむね昭和のものです。北洋漁業で函館が栄えるにつれ、湯の川は市街の東に伸びる**「函館の奥座敷」として整えられ、海沿いに旅館が連なるようになりました。それを支えたのが函館市電で、その路面電車はいまも走り、終点はいまも「湯の川温泉」電停**です。

海を望む宿と、猿の入る湯

湯はあつく、しょっぱい。源泉は六十度前後で湧き、舐めればはっきり塩分を感じるナトリウム・カルシウム塩化物泉。湯あがりの保温効果に優れます。旅館は浜辺に沿って建つので、角部屋に通されれば津軽海峡が湯気のむこうにひろがります。電停のすぐ脇には無料の足湯**「湯巡り舞台」**が置かれ、列車待ちの一時間でも湯にふれられます。

冬の名物は函館市熱帯植物園の露天風呂です。昭和四十五年(1970年)以来、ニホンザルの群れが温泉に放たれ、毎冬十二月から翌五月上旬まで、首までつかってまどろむ「湯の川猿」の姿が見られます。背景に揺れる椰子と、降りつもる雪。この取り合わせは湯の川にしかありません。函館空港からは車で五分、これも当地のしずかな自慢です。

函館湾をめぐって

宿の前後には函館そのものが広がります。函館山からの夜景、駅前の朝市の魚、星形の土塁が美しい五稜郭。市電がそれらを一本に貫いており、夜更けに湯の川へ戻る最終電車もたいてい賑わっています。

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参考・出典

  1. 函館湯の川温泉旅館協同組合 — 湯の川温泉の歴史official地元観光協会。1453年の木こり伝説、1653年の松前千勝丸湯治、湯倉神社の縁起の出典。
  2. 函館湯の川温泉 公式サイトofficial「空港に最も近い温泉」のキャッチコピーと、市電終着「湯の川温泉」電停の所在を確認。
  3. Travel Hakodate — Yunokawa Onsenofficial函館市観光情報。北海道三大温泉郷の一つとされる位置付け、アイヌ語「ユ・ペツ」の地名由来の参照。
  4. Travel Hakodate — 熱帯植物園のサル山温泉official冬季(12月〜5月上旬)の露天風呂入浴、1970年に始まった「ニホンザル温泉」の典拠。
  5. Wikipedia(日本語版) — 湯の川温泉(北海道)泉質(食塩泉)、源泉温度約65℃、昭和期に函館の奥座敷として発展した経緯のクロスチェック。