塩塩化物泉ナトリウム−塩化物温泉
ナトリウムを主体とする塩化物泉。湧出地のpHは中性付近(7.26)だが分析室の値は8.04で、分類上は弱アルカリ性に区分される。塩味のある黒褐色澄明な湯で、総溶存物質は約8.4 g/kgと中程度。低張性で身体への負担は穏やか、保温性のある食塩系の湯として塩のヴェールを薄く残す。
こんな効能
温まり
塩分が肌に膜をつくって熱の逃げを抑えるので、湯あがりの温かさが長く続きます(いわゆる熱の湯)。
冷え性に
美肌
炭酸水素塩とアルカリ性が古い角質をやわらげ、メタけい酸がうるおいを与えてなめらかに。美人の湯と呼ばれる所以です。
乾燥・カサつきに
きず
塩化物・硫酸塩・硫黄を含むミネラル豊富な湯は、軽い切り傷や治りにくい肌に古くから良いとされます。
軽い切り傷に
疲労回復
温熱と浮力がストレス指標を下げ睡眠を改善。習慣的な入浴はうつの低さと関連します。
疲れ・ストレスに
注意
禁忌症
- 病気の活動期(特に熱のあるもの)
- 活動性の結核
- 進行性の悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合
- 少量の摂取でも発作を起こすような重い心臓又は肺の病気
- むくみのあるような重い腎臓の病気
- 消化管出血
- 目に見える出血があるとき
- 慢性の病気の急性増悪期
- 1日に80ml(よう化物イオンの含有量から算出される限界値)を超えて温泉を飲用する場合: 甲状腺機能亢進症
- 1日に430ml(ナトリウムイオンの含有量から算出される限界値)を超えて温泉を飲用する場合: 塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、高血圧など)
成分(全項目)
バーは各イオンのミリ価%(その組内での電荷の割合)。20%以上が泉質名になります。ガス・けい酸・微量金属は重量のみで表示。
陽イオンミリ価%
- ナトリウム塩のもとになる陽イオン。塩化物と組んで塩味の湯にNa⁺2,743mgP93 全国86%
- カルシウム落ち着いた肌当たり。白い湯の花を残すこともCa²⁺349mgP90 全国12%
- カリウム微量。飲用の制限に関わるK⁺55.4mgP85 全国1%
- マグネシウムMg²⁺7.9mgP58 全国0.5%
- アルミニウムAl³⁺NDmg0.0%
- 鉄(II)Fe²⁺NDmg0.0%
- マンガンMn²⁺NDmg0.0%
- アンモニウムNH₄⁺1.4mgP72 全国
陰イオンミリ価%
- 塩化物食塩の陰イオン。肌を包んで保温(熱の湯)Cl⁻4,288mgP92 全国89%
- 炭酸水素塩重曹成分。肌をなめらかに(美肌)HCO₃⁻841mgP86 全国10%
- 臭化物微量。海水由来Br⁻0.13mgP15 全国
- 硫酸塩石膏・芒硝。血管をひらき、きずにSO₄²⁻0.13mgP2 全国
- フッ化物微量。飲用に制限ありF⁻0.01mgP2 全国
非解離成分重量で表示
- メタけい酸メタけい酸。天然の保湿成分でしっとりH₂SiO₃19.4mgP5 全国
微量成分重量で表示
- 銅Cu0.06mgP96 全国
- 総砒素AsNDmg
- カドミウムCdNDmg
- 鉛PbNDmg
源泉での測定
pH
7.26
弱アルカリ性
源泉温度
32.9°C
温泉
浸透圧
8.39g/kg
低張性
湧出量
210L/min
標準
分析書より
- 筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり (関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)
- 運動麻痺における筋肉のこわばり
- 胃腸機能の低下 (胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)
- 軽症高血圧
- 耐糖能異常 (糖尿病)
- 軽い高コレステロール血症
- 軽い喘息又は肺気腫
- 痔の痛み
- 自律神経不安定症、ストレスによる諸症状 (睡眠障害、うつ状態など)
- 病後回復期、疲労回復、健康増進
- きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
- 萎縮性胃炎、便秘
根拠
- Maeda M. 温泉の医学的効果とその科学的根拠. J. Hot Spring Science 70:197–207, 2021.
- Kario K et al. Hemodynamic Effects of Hot Spring Bathing. Hypertension Research 46(3):711–720, 2023.
- Naito Y et al. A Hot-Spring Water Improves Inflammatory Conditions in an Atopic Dermatitis Model. Biomedicines 13(11):2707, 2025.
- Li H et al. Bicarbonate Ionized Water Bathing Enhances Natural Killer Cell Activity. Scientific Reports 14:51851, 2024.
- Takeda M et al. Hot spring bathing practices have a positive effect on mental health in Japan. Heliyon 9(9):e19631, 2023.