瀬波温泉
せ な み お ん せ ん

瀬波温泉

Senami Onsen
新潟県中部地方11

新潟県北部・村上市の日本海沿いに湧く瀬波温泉。明治三十七年(一九〇四年)、石油の試掘中に原油ではなく熱湯が噴き出したのが始まりです。約九十五度のナトリウム-塩化物泉は海にじかに面し、露天風呂の正面に沈む夕日で知られます。

石油を掘り当てたら湯が噴いた

瀬波の開湯はいきさつがはっきりしています。明治三十七年(一九〇四年)四月、 いまの噴泉公園(ふんせんこうえん)にあたる海辺で石油の試掘を行って いたところ、原油ではなく沸き立つような熱湯が地中から噴泉として噴き出した のが始まりでした。源泉はいまも約九十五度で湧き、その高温ゆえに**「熱の 湯」の異名をとり、七本の源泉から毎分およそ千八百リットルが湧出します。 土地の言い伝えは地質に狐を添えます。噴出の前夜、お狐様がコンコンと鳴いて 湯の到来を告げたというのです。湧出地は村上藩の城下町村上(むらかみ)の すぐ外で、翌十年代に村上駅**まで鉄道が通じると、浜に沿って湯宿が広がり、 今日の海辺に並ぶ旅館街の姿が整っていきました。

日本海に張り出した桟敷

瀬波を記憶に刻むのは夕日です。温泉は日本海にじかに面し、湯船の窓と 水平線のあいだに陸地がないため、露天風呂や砂浜の正面に夕日がまっすぐ沈んで いきます。一年のあいだに日の沈む点は沖の佐渡粟島のあいだを行き来し、 その想像上の軌跡は夕日の小路(ゆうひのこみち)と呼ばれています。湯は ナトリウム-塩化物泉で、塩を含んで冷めにくく、湯上がりも海風のなかで体温 を保つ塩の湯です。昭和十二年(一九三七年)には歌人与謝野晶子が滞在して 四十五首を残し、のちに温泉地のそこかしこに歌碑として刻まれました。団体旅行の 時代よりずっと前から、この眺めが客を引いていたことを物語っています。

街のまわり

瀬波は村上の海側のへりにあたり、この町は名物を素直に身にまとっています。 何よりも**鮭(さけ)の里で、秋には三面川(みおもてがわ)**を鮭がさかのぼり、 **町屋(まちや)の通りには寒風で干された塩引き鮭(しおびきざけ)が軒先に 吊られます。同じ町は村上牛(むらかみぎゅう)**を育て、日本でも北限とされる **村上茶(むらかみちゃ)を産します。海岸を北へたどれば、波に削られた奇岩や 海食洞、岩礁が十一キロにわたって続く笹川流れ(ささがわながれ)**があり、国の 名勝に指定されたこの景色は遊覧船からの眺めが格別です。

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出典

  1. 村上市公式サイト「瀬波温泉」official明治三十七年の石油試掘による開湯と、日本海に沈む夕日を記す市の観光ページです。
  2. 瀬波温泉旅館協同組合「歴史と効能」official噴泉、九十五度の熱湯、七本の源泉、泉質を記す組合の公式ページです。
  3. 村上市観光協会「瀬波温泉」official村上の鮭文化、村上茶、笹川流れと温泉を結ぶ地域観光のページです。
  4. 瀬波温泉 — Wikipedia (JA)開湯の経緯、ナトリウム-塩化物泉という泉質、源泉温度、規模に関する一般的参考資料です。