田の原温泉
た の は る お ん せ ん

田の原温泉

Tanoharu Onsen
熊本県九州・沖縄地方3

川沿いに三百年の湯治の歴史を刻む、ひっそりとした温泉。初夏には、露天風呂の上をホタルが舞う。

川のほとり、三百年

田の原温泉(たのはるおんせん)の開湯は鎌倉時代にまで遡り、田の原川(たのはるがわ)の川床から湯が湧き出たのが始まりと伝わります。一帯には縄文期の遺構もあり、湯はそれ以前から使われていたとも。江戸期には湯治場として栄え、細川藩の武士が傷を癒やしに通ったといい、その歴史はおよそ三百年と数えられます。一九六四年(昭和三十九年)には、隣の黒川・満願寺とともに国民保養温泉地に指定されました。整えられ賑わう隣の黒川に対し、田の原は小さく静かなまま——歩く温泉街ではなく、川沿いに数軒の宿が佇むだけの湯里です。

湯に舞うホタル

湯は高温で湧き、源泉温度は五十度台から七十度を超えるとも記されます。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸・炭酸水素塩泉、県の紹介では「アルカリ性の炭酸水素塩泉」と簡潔にまとめられ、無色透明で肌にやさしい湯です。効能には神経痛・リウマチ・筋肉痛・関節痛、そしてこの土地が知られる美肌が挙げられます。見どころは季節のもの——初夏、川沿いの露天風呂の上をホタルが舞い、岩からはカジカの声が響く。田の原がもっともよく描かれる情景です。

宿

川の西岸に五軒ほどの宿が並びます。その要が大朗舘——築百年を超える川沿いの旅館で、滝見風呂・樽風呂・五右衛門風呂を含む八つの湯を宿泊客が無料で、貸切でも楽しめます。一九七六年公開の「男はつらいよ」シリーズの一作のロケ地でもあり、今もそのポスターを掲げています。流憩園は六室の小さな宿で、源泉かけ流しの五つの貸切風呂をもちます。地中から熱い湯が噴き上がる源泉地「地獄元湯」も、この一帯に残っています。

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出典

  1. 南小国町 — 田の原温泉official川沿いの風景、初夏のホタル、問い合わせ先の出典。
  2. くまもっと湯美人(熊本県公式温泉サイト)— 田の原温泉official泉質(炭酸水素塩泉・アルカリ性)・効能・静かな川沿いの趣。
  3. 田の原温泉 — ウィキペディア(日本語)鎌倉期の開湯、江戸期の湯治の歴史、1964年の国民保養温泉地指定。
  4. せせらぎのお宿 大朗舘 — 公式サイトofficial八つの湯をもつ川沿いの老舗宿。「男はつらいよ」のロケ地。