
秋保温泉
Akiu Onsen仙台の奥座敷。名取川の渓谷に湯けむりが立つ「日本三御湯」。60mの秋保大滝でも知られる。
帝の御湯として
秋保は宮城県仙台市の西、名取川の上流に静かに広がる温泉地です。土地の伝 えるところによれば、その湯が歴史に現れるのは六世紀、第二十九代欽明天皇 の御代(五三一年〜五三九年)にさかのぼります。長く小瘡を患っておられた 天皇のため、はるばる秋保の湯が都へ運ばれ、沐浴ののちに数日で全快されたと 伝えられています。天皇は喜びを歌に詠まれ、湯に**「名取の御湯」の名を 賜りました。のちに鎌倉初期の順徳天皇によってその位がふたたび確かめ られ、信濃の別所**、信州の野沢とともに「日本三御湯」と称される ようになります。
時代が下って江戸期、秋保は仙台藩の御殿湯となりました。独眼の藩祖 伊達政宗もたびたび湯治に訪れたと伝わり、その伊達家ゆかりの庇護が、 今日まで続く温泉街の精神的な背骨をなしています。
静かな川辺、塩のお湯
風景はおだやかです。奥羽山系の山あいを名取川が深く刻み、谷の開けたあた りに両岸の宿が並びます。仙台中心部からは車でおよそ三十分。湯は ナトリウム・カルシウム塩化物泉で、いくつかの源泉から中程度の温度で 湧きます。肌あたりは柔らかく、舐めればほのかな塩気があり、古い案内書が 言うところの「温まりの湯」です。川を少しさかのぼれば、五十五メートルを 一気に落ちる秋保大滝があり、日本三名瀑のひとつに数えられています。
牛タン、ずんだ餅、磊々峡
宿の食卓は、温泉地のそれであると同時に仙台の食卓でもあります。炭火で 香ばしく焼いた牛タンは仙台を代表する一皿で、どの旅館の夕餉にも自然 と並びます。枝豆をすりつぶした淡い緑の餡を絡めたずんだ餅もまた、 温泉街の歴史よりずっと古い東北の甘味です。温泉街の中心では、名取川が 彫りの深い岩を縫って流れる磊々峡が静かに口を開け、川沿いの遊歩道は 約一キロメートル、湯から湯への気持ちのよい三十分の散策路となっています。
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50km圏内参考・出典
- 秋保温泉旅館組合(公式)official— 加盟十四軒の宿を束ねる組合公式サイト。「伝承千年の宿」の歴史的位置づけと来訪案内の典拠。
- 秋保・里センター「秋保温泉の歴史」official— 欽明天皇の故事、「名取の御湯」の称号、伊達家との関わりを伝える地域文化センターの記述。
- ウィキペディア「秋保温泉」— 日本三御湯の指定、塩化物泉の泉質、現在の温泉街の構成についての裏付け。
- 秋保・里センター「泉質と効能」official— 塩化物泉としての分類と、各源泉の温度帯についての出典。
- 旅東北「秋保温泉」official— 仙台中心部から車で約三十分、秋保大滝・磊々峡など周辺見どころの紹介。