銀山温泉
ぎ ん ざ ん お ん せ ん

銀山温泉

Ginzan Onsen
山形県東北地方3施設

大正ロマンの木造旅館が雪のなかにガス灯で並ぶ。山形・尾花沢の渓谷の最奥にある。

銀山から湯のまちへ

「銀山」の名は、康正二年(一四五六)に発見された延沢銀山に由来します。江戸初期には幕府直轄の大銀山として最盛期を迎え、日本有数の銀の産地として知られました。十七世紀半ばを過ぎて鉱脈が衰え始めると鉱夫は次第に去り、坑道を掘る過程で湧き出していた温泉だけが渓谷に残されました。以後この地は、藁葺き屋根の小さな旅籠が並ぶ素朴な湯治場として細々と続いていきました。

転機は大正二年に訪れます。銀山川の大洪水によって湯治場の大半が流失し、復興は長く停滞しました。大正末に水力発電所が建設されて電力事情が改善し、決定打となったのは昭和元年の源泉ボーリングです。高温で湯量豊富な源泉が掘り当てられたことで、各旅館は一斉に建て替えに着手し、当時としては極めてモダンな三層・四層の木造バルコニー建築が川沿いに整然と立ち並ぶことになりました。外壁には鏝絵を施したものも多く、現在見られる町並みの骨格はおおむねこの大正末から昭和初期にかけて形作られたものです。昭和六十一年制定の「銀山温泉家並保存条例」によって、この風景は今日まで守られています。

ガス灯と川の光

銀山温泉は、銀山川の両岸に折り重なるように旅館が並ぶ一本の通りに尽きます。中心街への車両の乗り入れは規制されており、浴衣と下駄で歩く人々のための道です。日が傾くとガス灯が点り、木組みの欄干や格子窓を柔らかく照らし、川面が金色に揺れます。冬には屋根の上に厚く雪が積もり、灯のともる木造旅館の輪郭が雪の白さの中にいっそう浮かび上がります。日本でもっとも絵になる温泉街のひとつとして名を挙げられる所以です。

「おしん」がもたらしたもの

銀山温泉の名が全国に広く知られるようになった契機の一つは、昭和五十八年放送のNHK連続テレビ小説「おしん」でした。山形を舞台とするこの物語のなかで銀山の風景が印象的に映し出され、以降、多くの旅行者がこの渓谷を訪れるようになりました。家並保存条例の制定とほぼ時を同じくしてのことで、訪れる人々が出会う町並みは、画面の記憶にきわめて忠実なものとして今に至っています。

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参考・出典

  1. 銀山温泉 公式サイトofficial旅館組合のポータル。ガス灯と大正ロマンの基本イメージの出典です。
  2. 銀山温泉 公式サイト「歴史と温泉」official延沢銀山から昭和元年の高温多量湯のボーリングまでの年表です。
  3. 銀山温泉, Wikipedia大正2年の大洪水、木造多層旅館への建て替え、昭和61年の家並保存条例について。
  4. nippon.com「500年の歴史を持つ山形・銀山温泉」大正期建築と雪景色についての解説記事です。
  5. Ginzan Onsen, Wikipedia (English)中心街の歩行者専用化やNHK「おしん」との結び付きに関する英語情報です。