
鳴子温泉郷
Naruko Onsen-kyo宮城県・鳴子峡の温泉郷。数キロ圏内に多彩な泉質が湧き、こけしの里としても知られる。
奥羽の山あいに千年余り
鳴子は宮城県北部、江合川の上流域に位置します。六国史の一つ『続日本後紀』には、 承和四年(八三七年) に鳥屋ヶ森が鳴動し、温泉が湧き出たと記されています。 「鳴く子」に通じるその轟きが、そのまま地名になったと伝えられます。元禄二年 (一六八九年)、松尾芭蕉 は『おくのほそ道』の旅路で尿前の関を越え、 「なるこの湯」をその紀行に書き留めました。源義経もまた、平泉へ落ち延びる 途上にこの湯で身を休めたと言い伝えられています。
現在の「鳴子温泉郷」は、五つの温泉地の総称です。鉄道の終点に開けた 鳴子、 川沿いに古い湯宿が残る 東鳴子、五湯のうち最も古く脚気の湯として知られた 川渡、大谷川に沿う山あいの 中山平、栗駒の高原に広がる 鬼首 — それぞれに固有の湯を持ち、源泉数は郷全体で 約四百本 にのぼります。
一つの谷に、ほぼすべての泉質
日本の温泉は泉質を十一種類に分類しますが、鳴子温泉郷はそのうち 九種類 が この谷ひとつに揃うと長く語られてきました。これほど多様な湯が一所に集まる 温泉地は、全国でも稀です。湯宿を巡ることは、そのまま泉質を巡ることでもあり、 滝の湯の白濁した硫黄泉、中山平の「うなぎ湯」と呼ばれるとろみのある湯、 東鳴子の鉄分を帯びた湯、川渡の重曹泉 — 一日のうちに肌の感触が幾度も変わります。
町は今も木造の湯屋を残しています。温泉神社の参道脇に建つ共同浴場 滝の湯 は鳴子の象徴で、神社の源泉を引く小ぶりな板葺きの湯小屋は、壁も床も湯の華に 染まって黒く沈んでいます。周囲はブナと楓の山で、十月半ばを過ぎると、大谷川が 百メートルの崖を刻んだ 鳴子峡 が東北屈指の紅葉回廊となります。
木と湯、そして小さな人形
鳴子は こけし の伝統的な産地のひとつです。東北各地の木地師に受け継がれた こけしは現在十一系統に分けられ、その中でも鳴子こけしは大きな頭、菊模様の胴、 そして首を回すと「キュッ」と鳴る「はめ込み式」の構造で知られます。今も町には およそ八十名の工人が暮らしています。毎年九月には 全国こけし祭り が開かれ、 全国から作り手と蒐集家が集まり、温泉神社では古いこけしを納める奉納祭が 営まれます。
地区
鳴子温泉郷内の5地区この温泉地の施設
17施設 · 評価順地図で見る
近隣の温泉地
50km圏内参考・出典
- 鳴子温泉郷観光協会official— 五湯を束ねる観光協会の公式サイト。滝の湯や湯めぐりチケット、地域イベントの一次情報。
- 鳴子温泉観光協会official— 鳴子温泉単独の観光協会。こけしや温泉神社の解説ページを参照。
- ウィキペディア「鳴子温泉」— 『続日本後紀』承和4年(837年)の温泉湧出記事、『おくのほそ道』の言及、泉質の整理を参照。
- nippon.com「鳴子温泉郷」— 五つの温泉地とこけし文化の編集解説。
- 宮城県観光「鳴子峡の紅葉」official— 鳴子峡の地形と紅葉シーズンの公式情報。












