有馬温泉
あ り ま お ん せ ん

有馬温泉

Arima Onsen
兵庫県関西地方21施設

日本三古湯のひとつ。神戸の六甲山の北麓に位置し、金泉(含鉄塩化物)と銀泉(炭酸・ラドン)で知られる。

記紀以前の湯

有馬は道後・南紀白浜と並ぶ日本三古湯のひとつに数えられます。『日本書紀』には舒明天皇が六三一年に病の療養のためこの地に行幸した記録が残り、清少納言の『枕草子』にも三名泉の筆頭として記されています。中世以降の伝承を形づくるのは二人の僧侶で、八世紀には行基が温泉寺を開いたと伝えられ、十二世紀には仁西が荒廃した湯を再興したと語り継がれています。

そして現代の有馬がもっとも語るのは豊臣秀吉でしょう。秀吉は一五八三年に初めて有馬に湯治に訪れて以来、生涯で九度この湯に浸かったといわれます。慶長伏見地震で泉源と寺社が壊滅すると、秀吉は私財を投じて泉源と温泉寺の全面復興を進め、湯山の中腹に湯山御殿と呼ばれる別邸まで構えました。このとき整えられた湯の基盤は、その後およそ三百五十年にわたり大きな改修を必要としなかったと伝わります。町を流れる谷川にかかる太閤橋ねね橋は、いまもその名を留めています。

金の湯、銀の湯、細い坂

有馬を独特なものにしているのは、同じ集落から二種の泉質がまったく異なる姿で湧いている点です。金泉は鉄分と塩分を多く含み、空気に触れると酸化して褐色に濁ります。銀泉はその対をなす無色透明の湯で、ラジウムと炭酸ガスを含みます。両者はそのまま外湯の金の湯銀の湯へ引かれ、川沿いから斜面へと連なる旅館にも分配されています。

町並みは小ぢんまりと密度が高く、木造の旅館、石畳の急な坂、温泉寺へ続く一本の参道「湯本坂」が骨格をつくります。山あいの趣のいっぽうで、有馬は六甲山の北麓に位置し、六甲有馬ロープウェーで尾根筋に十二分で結ばれます。神戸三宮からも地下鉄と北神線でわずか三十分の距離です。

持ち帰る湯のかたち

地の銘菓は温泉と並んで湧く炭酸泉を生かしたものが多く、明治以来の鉄板で焼かれる炭酸煎餅炭酸まんじゅう、地サイダー(別名「鉄砲水」)が代表格です。六甲の竹は有馬籠となり、編組の細工として土産物店に並びます。いずれも常温で持ち運べ、二つの外湯を結ぶ十五分ほどの坂道のあいだに、すべて揃えることができます。

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参考・出典

  1. 有馬温泉観光協会 公式サイトofficial地元旅館・商店による運営。金泉・銀泉の説明と外湯案内の出典。
  2. Feel KOBE 神戸公式観光サイト — 有馬温泉の歴史スポットofficial神戸市観光局。行基・仁西・秀吉ゆかりの史跡を歩いてめぐる構成。
  3. 神戸市 — 有馬の泉源official公式に登録された七つの泉源とその泉質を解説する自治体ページ。
  4. 有馬温泉 — ウィキペディア舒明天皇の行幸の年代、江戸期に「天下第一の名湯」と称された経緯の概観。
  5. Discover Japan — 豊臣秀吉×有馬温泉秀吉が後半生に九度湯治に訪れたことと、慶長の大震災後の復興事業を扱う特集記事。