定山渓温泉
じ ょ う ざ ん け い お ん せ ん

定山渓温泉

Jōzankei Onsen
北海道北海道地方3施設

札幌の奥座敷。豊平川の渓谷に60軒以上の旅館が並ぶ塩化物泉。

旅の僧と、アイヌに知られた谷

定山渓の湯は、アイヌがサッ・ポロ・ペッ——「乾いた大きな川」と呼んで いた豊平川の上流に湧き出しております。後にその音から「札幌」という地名が 当てられたわけですが、流域に湧くこの谷の湯もまた、古くからアイヌの人々に 知られておりました。実際、定山の到来より先、安政五年(1858年)には探検家 松浦武四郎がすでにこの源泉を記録に残しております。

宿場としての歴史は慶応二年(1866年)、修験僧の美泉定山が張碓から 二人のアイヌに導かれて山中へ分け入り、湯口にたどり着いたところから始まり ます。備前国に生まれ、各地の霊山で修行を重ねた定山は、湯のかたわらに庵を 結び、森を切り開き、傷病の身を癒すための湯治場を開きました。やがてこの渓 谷は彼の名を取って「定山渓」と呼ばれるようになります。大正七年 (1918年)に定山渓鉄道が白石まで通じてからは湯宿が川岸に建ち並び、いまでは 札幌の中心から車で一時間ほど、市街から最も近い温泉郷として親しまれて おります。

杉の渓谷、河童、川辺の湯

定山渓の旅館は豊平川の急峻な岸に段々と連なり、湯舟の窓を開ければそのまま 水面と杉木立を望むことができます。秋には二見吊橋のあたりが金と紅に 染まり、冬には黒々とした枝に雪が降り積もって、同じ景色を一変させます。 中心の定山源泉公園には無料の足湯と手湯、そして温泉卵をつくるため の石窯が設けられ、川下の湯の滝には自らの露天風呂に浸かる石の河童が 鎮座しております。

水の精霊である河童がこの町の主役であるのには訳があります。かっぱ淵 の深みに引き込まれた青年が、のちに父の夢枕に立ち、「河童の妻と子と幸せに 暮らしている」と告げたという伝説が、いまに語り継がれているからです。今日 では二十体を超える河童像が通りや橋に佇み、毎年八月にはかっぱ祭りが町 を賑わせます。

湯宿の外へ

バスで少し上流へ向かいますと、支笏洞爺国立公園の懐に抱かれた豊平峡ダム へ至ります。十月の紅葉の季節には、来訪者は車をゲートに置き、電気バスで ダムの縁まで運ばれて、渓谷いっぱいに広がる赤と黄の帳を見上げることができ ます。

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参考・出典

  1. 定山渓観光協会 — 定山渓温泉の歴史official公式観光団体。1866年(慶応二年)の美泉定山による開湯、アイヌの案内、明治期の鉄道開通による発展を裏付ける一次資料。
  2. 定山渓観光協会 — 河童伝説スポットofficial河童淵伝説および温泉街に点在する河童像の公式案内。
  3. Wikipedia — 定山渓温泉豊平川沿いの自然湧出と、定山以前に松浦武四郎が源泉を記録した安政五年の記事を確認。
  4. Wikipedia — Sapporoアイヌ語「サッ・ポロ・ペッ(乾いた大きな川)」を語源とする豊平川流域の地名考証として参照。
  5. 札幌市観光案内 — 定山渓温泉札幌中心部から最も近い温泉郷としての位置づけ、紅葉と豊平峡ダム観光に関する確認。