湯単純温泉ナトリウム−塩化物温泉
下呂温泉の集中管理源泉から配湯される、アルカリ性単純温泉。pH9.4の高いアルカリ性で肌がツルツルする、いわゆる「美肌の湯」の系統。総溶存物質は353.9 mg/kgと軽めだが、メタけい酸を66.7 mg/kg含み、薄い保湿膜のようななめらかさを残す。泉質別適応症には自律神経不安定症・不眠症・うつ状態が挙げられている。浴槽は加水・加温なしだが、通年の循環装置と衛生管理のための塩素剤を使用している。
こんな効能
美肌
炭酸水素塩とアルカリ性が古い角質をやわらげ、メタけい酸がうるおいを与えてなめらかに。美人の湯と呼ばれる所以です。
乾燥・カサつきに
疲労回復
温熱と浮力がストレス指標を下げ睡眠を改善。習慣的な入浴はうつの低さと関連します。
疲れ・ストレスに
分析書記載:病後回復期自律神経不安定症不眠症うつ状態
注意
禁忌症
- 病気の活動期(特に熱のあるとき)
- 活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合
- 少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気
- 消化管出血、目に見える出血があるとき
- 慢性の病気の急性増悪期
成分(全項目)
バーは各イオンのミリ価%(その組内での電荷の割合)。20%以上が泉質名になります。ガス・けい酸・微量金属は重量のみで表示。
陽イオンミリ価%
- ナトリウム塩のもとになる陽イオン。塩化物と組んで塩味の湯にNa⁺104mgP29 全国97%
- カルシウム落ち着いた肌当たり。白い湯の花を残すこともCa²⁺2.5mgP10 全国3%
- カリウムK⁺1.4mgP17 全国0.8%
- アルミニウム酸性の火山性の湯に現れるAl³⁺0.09mgP39 全国
- FeTotalFe< —mg
- マグネシウムおだやか。飲むと緩下作用Mg²⁺< —mg
- マンガン微量。含鉄泉によく伴うMn²⁺< —mg
陰イオンミリ価%
- 塩化物食塩の陰イオン。肌を包んで保温(熱の湯)Cl⁻81.2mgP35 全国46%
- フッ化物微量。飲用に制限ありF⁻17.0mgP98 全国18%
- 炭酸塩強アルカリ性。ぬるっとした浴感CO₃²⁻25.4mgP77 全国17%
- 炭酸水素塩重曹成分。肌をなめらかに(美肌)HCO₃⁻38.7mgP25 全国13%
- 硫酸塩石膏・芒硝。血管をひらき、きずにSO₄²⁻11.0mgP23 全国5%
- BO2BO₂⁻5.4mgP85 全国2%
- 硫化水素HS⁻0.30mgP45 全国0.0%
- AsO2AsO₂⁻0.02mgP70 全国0.0%
- 硝酸塩NO₃⁻< —mg
非解離成分重量で表示
- メタけい酸メタけい酸。天然の保湿成分でしっとりH₂SiO₃66.7mgP42 全国
溶存ガス重量で表示
- 遊離二酸化炭素炭酸。血管をひらく(1000mg/kg以上で顕著)CO₂< —mg
- 遊離硫化水素卵のような匂い。血管拡張・抗菌H₂S< —mg
源泉での測定
源泉温度
56.0°C
浸透圧
0.35g/kg
低張性
湧出量
2,300L/min
極めて高い
分析書より
- 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)
- 運動麻痺における筋肉のこわばり
- 冷え性、末梢循環障害
- 胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)
- 軽症高血圧
- 耐糖能異常(糖尿病)
- 軽い高コレステロール血症
- 軽い喘息又は肺気腫
- 痔の痛み
- 疲労回復、健康増進
根拠
- Maeda M. 温泉の医学的効果とその科学的根拠. J. Hot Spring Science 70:197–207, 2021.
- Naito Y et al. A Hot-Spring Water Improves Inflammatory Conditions in an Atopic Dermatitis Model. Biomedicines 13(11):2707, 2025.
- Li H et al. Bicarbonate Ionized Water Bathing Enhances Natural Killer Cell Activity. Scientific Reports 14:51851, 2024.
- Takeda M et al. Hot spring bathing practices have a positive effect on mental health in Japan. Heliyon 9(9):e19631, 2023.