
川治温泉
Kawaji Onsen鬼怒川と男鹿川の合流点、賑やかな鬼怒川温泉のすぐ上流に佇む渓谷の温泉地。「傷は川治、病は鬼怒川」と言われる弱アルカリ性の優しい湯で、静かな湯治の趣を残す。
「傷は川治、病は鬼怒川」
川治温泉は、いまの日光市の西の縁、鬼怒川渓谷の上流に静かに佇む温泉地で、賑やかな隣の鬼怒川温泉から数キロ上流、北から流れ込む川治川と鬼怒川がV字に合わさるところに開けています。古くから「傷は川治、病は鬼怒川」と言われ、両温泉地は江戸から会津へ抜ける街道沿いの湯治場として、それぞれ違う役割を担ってきました。川治の湯は無色透明の弱アルカリ性単純温泉で、刺激が少なく、何時間でも浸かっていられる柔らかさです。湯治の客はまさにそうやって長く湯に身を沈めました。開湯は平安末期と伝えられ、源氏に仕えた武士が街道で負った刀傷を、硫黄の香りに導かれて渓谷の川に下り、流れに身を浸すことで癒したのが始まりとされます。
渓谷に湯を切る
川治の風景は、ほかでもなく渓谷そのものです。鬼怒川が広い河原を抱えて広がるのに対し、川治は両側の岸壁にぎゅっと挟まれ、宿は急な右岸に縦に積み重なって、木の欄干が水面の上に張り出します。河原に組まれた歴史ある「薬師の湯」露天は、いまは名のみが残るかたちで、岩を削った無料の共同湯は橋の少し上、町なかへ移されています。いまの中心は川の屈曲に沿って並ぶ数軒の多層宿で、その多くがいまも家族で守られ、渓谷を見下ろす露天をそなえています。秋深まる頃の川治は格別で、鬼怒川の楓と、その上の橅や楢が同時に色づき、谷全体が乾いた赤橙の光に満ちて、川治の宿の窓の障子をその色に染め抜きます。
龍王峡のうえ
少し上流に行けば、鬼怒川は柱状節理の安山岩が約五キロ続く龍王峡を切り抜きます。栃木のこの界隈ではもっとも歩かれる遊歩道で、龍王峡駅から龍にも似た岩の下のいくつもの淵まで下り、杉林を抜けて二時間ほどで戻ってこられます。同じ渓谷には五十里ダムと川治ダムがあり、その湖は夏のカヤックでも親しまれています。川治の足は東武の会津鬼怒川線で、鬼怒川温泉駅から谷を遡る単線が川治温泉駅を経て、会津田島・大内宿の宿場町まで続きます。渓谷の一夜を、冬の雪国へとそのままつなげていく旅にも向いています。
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50km圏内参考・出典
- 鬼怒川・川治温泉観光協会 公式サイトofficial— 隣接する二つの温泉地の共同観光協会。宿泊、共同湯、「傷は川治、病は鬼怒川」の言い伝えなど。
- 川治温泉 — ウィキペディア— 開湯伝説、弱アルカリ性単純温泉の泉質、鬼怒川と男鹿川の合流点という地理。
- 会津鬼怒川線 — 東武鉄道official— 浅草・鬼怒川・川治・会津を結ぶ単線。古くから渓谷の温泉客を運んできた路線。
- 川治温泉 — 日本政府観光局— 渓谷の温泉地としての概要と、日光地域における位置づけ。
- 川治温泉 — 日光市観光協会— 2006年の市町村合併以降、川治温泉を所管する日光市観光協会の公式ページ。