
芦ノ牧温泉
Ashinomaki Onsen会津若松の南、大川(阿賀川)の峡谷に沿って高い宿が崖に建ち並び、露天風呂が流れの真上に張り出す温泉地。千二百年ほど前に行基が見つけたと伝わり、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉は冷まして使うほどの高温で湧く。散策路には無料の足湯が三か所あり、町はずれの芦ノ牧温泉駅には猫の駅長がいる。
行基か、弘法大師か
芦ノ牧の開湯は二通りに語られる。千二百年ほど前に行基が見つけたという説と、 弘法大師によるという説である。会津の古い地誌はもう少し素っ気なく、しかし 役に立つ書き方をしていて、この湯が眼病に効くと伝えられていたことを 記している。地名の由来もまた二説ある。鶴ヶ城から会津を治めた蘆名氏が このあたりに置いた牧(馬の放牧地)にちなむという説と、町の下で大川が 巻く渦にちなむという説だ。
長いあいだ、ここは近隣の人が浸かりに来る湯であって、旅先ではなかった。 それが変わったのは明治三十五年(一九〇二年)、谷に道路が通ってからで ある。宿が建ち、増え、昭和四十年代の観光ブームでさらに大きくなり、崖には 六階七階の建物が並んだ。バブル崩壊のあとは他の温泉地と同じ道をたどり、 川の上にはいまも空のコンクリートが残る。それでも七軒の宿が組合を組んで 続いている。
冷まして使う湯
温泉街は、国道一一八号が峡谷を渡る会津若松の南、大川(阿賀川上流)を 見下ろす高台にある。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉、 源泉は六十度を超え、湯船に入れる前に冷ます必要があるほど熱い。塩を含んで 冷めにくい湯で、リウマチ、胃腸、皮膚の症状に古くから使われてきた。
この地形を宿がどう使うかが見どころになる。谷壁が急なので、道路の高さに 玄関を置いてもその下に六階分がとれる。だから風呂は川の「そば」ではなく 「上」に張り出す。大川荘は写真で知られる一軒で、峡谷に向かって 三味線の音が流れる浮き舞台のある吹き抜けを持つ。近年は『鬼滅の刃』の 無限城に似ているとして、まったく別の客層にも知られるようになった。 仙峡閣は対照的に十五室、自噴の源泉かけ流しで、日本秘湯を守る会に 名を連ねる。
足湯三か所と、ねこ駅長
温泉街は端から端まで歩いて三十分ほど。その間に無料の足湯が三か所ある。 通り沿いの足ポッポ、金精神社に寄り添う子宝の湯、そして眺めのよい かがやき公園の足湯。東の外れの土産センターは、宿とは無関係の素朴な 日帰り湯を営んでいる。
四キロ離れた会津鉄道の芦ノ牧温泉駅は市民団体が守っており、名誉駅長は 猫が務める。二〇〇八年にばす、二〇一五年にらぶ、二〇二三年から さくら。線路はさらに南へ、茅葺きの宿場大内宿と、川に削られた 断崖塔のへつりへ続く。多くの人がこの三つを一日でめぐるのは、そういう 理由による。
この温泉地の施設
12軒 · 評価順閉業・休業・非公開
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近隣の温泉地
50km圏内出典
- 会津芦ノ牧温泉観光協会official— 公式サイト。加盟旅館一覧、日帰り入浴の受入時間、足湯三か所をめぐる散策コース、開湯伝説の出典。
- 芦ノ牧温泉 — Wikipedia(日本語)— 二つの開湯伝説、地名の由来の二説、明治三十五年の道路開通、泉質、バブル崩壊後の廃業と廃墟についての記述。
- 芦ノ牧温泉駅を守る会official— 駅を運営する市民団体。ばす・らぶ・さくらと続くねこ駅長の代替わりの出典。
- 会津若松観光ビューロー — 芦ノ牧温泉official— 峡谷の地形、城下町からの交通、周辺の見どころについての観光公式情報。