
大塩温泉
Aizu-Oshio Onsen只見川沿い、奥会津の小さな集落の温泉。共同浴場と民宿が一軒ずつ、日本有数の高濃度の炭酸を含む三十八度の湯を分け合う。茶褐色でわずかに塩気があり、ぬるめで長湯ができ、飲むこともできる。歩いて数分のところにはもう一つ、明治にヨーロッパへ輸出され今も汲まれている天然炭酸水の冷たい井戸が湧く。
会津でいちばん炭酸の濃い湯
大塩は只見川沿い、奥会津の小さな集落である。訪ねる理由は足元から湧く ものにある。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、溶け込 んだ炭酸の量は日本でも有数。湧出温度は三十八度あまり——湯というより体温 に近い。浴槽では茶褐色から青白色に濁り、わずかに塩気と金気があり、肌には 細かな泡がつく。手で払っても、すぐにまた立つ。
ふつうなら冷たくて長くはいられない温度だが、ここでは逆になる。炭酸が末梢の血 管をひらくので、熱はゆっくり入り、湯から上がったあとも長く残る。一時間浸かっ ている人がいる。飲泉もでき、この谷には「胃は大塩、痔は湯倉」という言 い方が伝わっている。
共同浴場が一軒、宿が一軒
温泉地といっても建物は二つきりである。共同浴場は平成二十七年(二〇一五 年)八月二十日に建て替えられ、川べりに立って窓が只見川に向く。入浴は協力 金四百円、四月から十月は七時三十分〜二十時、十一月から三月は八時三十 分〜二十時。源泉が三十八度しかないため、寒い時期は加熱している。町はそ れを隠さない。
隣の民宿たつみ荘は明治中期から湯治客を受け入れてきた宿で、内湯を持 たない。泊まり客は隣の共同浴場へ歩いて通い、ほかの客が帰ったあとの時間も含 めて何度でも入る。四室、一泊二食六千五百円から、女将が地のものを中心にし た料理を出す。かつては国道二五二号沿いにマタギ鍋が名物の岩崎屋旅館もあっ たが、いまはない。
春だけ現れる湯
たつみ荘の敷地、川に落ちる崖の上に、混浴の露天風呂がある。雪解けの春 にだけ自然に湧き上がって溜まる湯で、もとは集落の共同浴場だった。ダム開発で河 岸が近づき取り壊すはずだったものが、そのまま残った。常に整備されているわけで はなく、入る前に自分で掃除が要ることもある。ダム湖の崖沿いで転落の危険もある ため、宿にひと声かけ、足元に気をつけて入りたい。
炭酸水の井戸
歩いて十分ほどのところに、まったく熱くないもう一つの湧きがある。天然炭酸水 の井戸である。軟水で、微炭酸で、冷たい。明治には岩代天然炭酸鉱泉会社が 興り、ドイツの会社と組んでヨーロッパへの輸出が図られた。いまは井戸のそばの小 さな工場が瓶詰めし、飲食店に入り、二〇一九年のG20大阪サミットではミネラル ウォーターとして供された。水は各自が持参の容器で汲む。井戸は深く、底に二酸化 炭素が溜まる。二〇一九年八月には水を汲もうとした二人が意識を失って転落し、 亡くなっている。同年十月に柵を直して再開した。縁から汲むこと、身を乗り出さ ないこと、柵を越えないこと。
行き方
JR只見線・会津大塩駅から徒歩約十五分。只見線そのものが乗る価値のある路線 で、谷を少し上れば第七只見川橋梁がある。国道二五二号を東へ行けば湯倉温 泉と玉梨温泉の湯が近い。
この温泉地の施設
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近隣の温泉地
50km圏内出典
- 大塩温泉 — 金山町観光情報official— 共同浴場の所在地、夏冬二つの営業時間、協力金四百円、泉質名の出典。
- 大塩温泉共同浴場 — 金山町観光物産協会official— 只見川を望む浴室、備品、三十八度でも湯上がりに温もりが残るという記述の出典。
- 大塩温泉(福島県) — Wikipedia— 泉質と成分、弘法大師の開湯伝説、昭和三十年の本名ダムによる移転、昭和四十二年の湯温低下、平成二十七年のリニューアル、崖上の季節限定露天風呂の出典。
- 大塩天然炭酸場 — 金山町official— 井戸の紹介、軟水で微炭酸というまろやかな口あたり、飲食店での採用について。
- 大塩温泉|奥会津の貴重な天然炭酸泉は茶褐色のにごり湯— 茶褐色の湯、明治期の炭酸水のヨーロッパ輸出、二〇〇四年からの瓶詰めについての記事。
- 民宿たつみ荘official— 共同浴場の隣の宿。部屋数、料金、食事について。
