温泉用語
日帰り入浴とは
泊まらずに、お風呂だけ。言葉の意味から、どこで入れるか、旅館の日帰り入浴の流れまで。
日帰りひがえり

日帰りとは
「日帰り」は、出かけた先で泊まらずに、その日のうちに帰ってくること。「日帰り旅行」のように使います。温泉では「日帰り入浴」の略で、宿泊せずにお風呂だけを利用することを指します。受付で料金を払って入浴し、その日のうちに帰ります。
看板やサイトでは、ほかの呼び方もよく見かけます。旅の途中に立ち寄って入る「立ち寄り湯」や、「日帰り温泉」です。日帰り温泉は、日帰りで入ること自体にも、日帰り客を受け入れる施設にも使われ、客室のない温浴施設もそう呼ばれます。温泉鬼では「日帰り利用」と表示しています。
一字ずつ見ると
- 日ひその日、一日のこと。太陽を指すことも
- 帰りかえり帰ること、戻ってくること(ほかの語に続くと「がえり」と濁る)
長逗留から日帰りへ

長いあいだ、温泉に行くといえば、そこに泊まって過ごすことでした。中世にはすでに、湯治は7日間を「一廻り」として数え、少なくとも三廻り、21日間は続けるべきものと考えられていました。
江戸時代になると、短い滞在が増えていきます。中期には、出版された温泉案内記の影響もあって、病を治すためではなく、保養や物見遊山のために温泉へ出かける人が増えました。伊勢参りの途中に立ち寄るような、短いあいだだけ滞在する旅人も多くなります。文化2(1805)年には「一夜湯治」が事実上公認され、湯治といえば長く滞在するもの、という前提が変わり始めました。
日帰り客のための温泉施設が各地に増えたのは、もっと最近のことです。地理学者の山村順次氏は、2003年に環境省の懇談会へ提出した報告で、1972年から2002年の30年間に温泉公衆浴場が268%増えた一方、宿泊施設数の増加は20%にとどまったとしています。その背景として、大深度掘削によって温泉開発の地域が広がったことと並んで、市町村の大小を問わず1億円を交付した「ふるさと創生1億円事業」による日帰り温泉施設の急増を挙げています。
日帰りで入れるところ
たいていのお風呂は、日帰りでも入れます。違いが出るのは、入れる時間と料金、それに料金に何が含まれるかです。
旅館・ホテルのお風呂
日帰り入浴を受け付けている旅館やホテルは多く、時間はたいてい一日のうち数時間です(受け付けていない宿もあります)。部屋を取らずに老舗の湯に入れるのが日帰り入浴のよいところ。群馬の法師温泉 長寿館では、11時から14時まで日帰り入浴ができます。由布の里 旅荘 牧場の家、由布院温泉 くつろぎの温泉宿 山田別荘、別府温泉郷 芽登温泉ホテル、北海道
銭湯
街の銭湯は、もともと日帰りで入るところです。入浴料金は都道府県が上限を定めていて、東京都では2026年8月から大人600円。温泉を使う銭湯もあれば、沸かした水道水の銭湯も多くあります。スーパー銭湯
たくさんの湯船にサウナ、食事処、休憩スペースを備えた大型の入浴施設です。料金は施設ごとに決めていて、都道府県が上限を定める銭湯の入浴料金の対象外とされています。おふろの王様 多摩百草店、東京都 天光の湯、岐阜県 SPAWORLD HOTEL&RESORT、大阪府
共同浴場・外湯
温泉地には、共同浴場や外湯と呼ばれる地元の共同湯が多くあり、決まりは温泉地ごとに違います。野沢温泉の13の外湯は、マナーを守れば誰でも入ることができ、入浴料の代わりに賽銭箱へ寸志を入れます。渋温泉では、日帰り客が入れるのは九番湯の渋大湯だけで、ほかの8つの外湯は渋温泉の宿泊客だけが無料で使えます。日帰りプラン
入浴に昼食や休憩用の部屋をつけた日帰りプランを用意する宿もあります。有馬温泉の銀水荘 兆楽では、昼食つきの日帰りプランが7,700円からで、要予約、タオルつき。静岡の七滝温泉ホテルには、和室と貸切風呂を使えるプランがあります。
旅館の日帰り入浴

旅館のお風呂は、まず泊まっているお客さんのためのもの。日帰り入浴は、その合間に入れてもらう形になります。気をつけたい点をいくつか挙げておきます。
入れる時間は限られる
旅館の日帰り入浴は、宿泊客がお風呂を使わない昼前後の数時間だけ、ということがよくあります。秋田・乳頭温泉郷の妙乃湯は10時30分から15時まで、法師温泉は11時から14時まで。黒川温泉の山河のように、8時30分から21時まで入れる宿もあります。最終受付は早め
受付は、お風呂が閉まるより前に終わります。法師温泉は終了の30分前(13時30分)、妙乃湯(14時)と洞爺湖のホテルグランドトーヤ(21時終了のところ20時)は1時間前。時間に余裕をもって着きましょう。定休日と清掃
お風呂は清掃や点検のために休みます。決まった曜日のこともあれば、急に休むこともあり、法師温泉は水曜、妙乃湯は火曜が定休日です。和歌山のホテル浦島では4つのお風呂それぞれに清掃時間があり、洞窟風呂の忘帰洞は10時から13時まで入れません。目当てのお風呂が、着いたときには清掃中ということもあります。混んでいるとき
ホテルグランドトーヤのように、混み合ったときや特別な日には日帰り入浴を断ることがある、とする宿もあります。繁忙期に決まりが変わる宿もあり、銀水荘 兆楽では年末年始の約1週間、日帰りの予約を受け付けていません。すべてのお風呂に入れるとは限らない
日帰り客が入れるのは、宿のお風呂の一部だけ、ということもあります。黒川温泉の山河では、日帰りで入れるのは露天風呂2つで、洗い場もシャワーも石けんもありません。貸切風呂と内湯のひとつは宿泊客専用です。洗い場のないお風呂では、入る前にかけ湯を。時間制限があることも
日帰り入浴に利用時間の制限を設ける宿もあり、七滝温泉ホテルでは3時間です。受付で確かめましょう。
持ち物と料金
日帰りなら荷物は少なくてすみますが、宿泊客のようにタオルが部屋に用意されているわけではありません。
料金
料金は着いたときに受付で払います。銭湯の料金は都道府県ごとに上限が決まっていて、2026年は大人で東京都600円、埼玉県550円、静岡県520円。旅館は宿ごとに決めていて、山河は600円、妙乃湯は1,000円、法師温泉は1,500円。3軒とも子どもは安くなります。タオル
フェイスタオルとバスタオルを持っていくか、借りるか買うつもりで。法師温泉はバスタオルの貸し出しとフェイスタオルの販売、七滝温泉ホテルはタオル100円、ホテル浦島はタオルとバスタオルが料金に含まれています。銭湯なら手軽で、東京の公式観光サイトによれば、ほとんどの銭湯で必要なものが買えるので手ぶらでも大丈夫です。予約
そのまま行けば入れる宿もあれば、予約した人だけを受け入れる宿もあるので、事前に確かめましょう。予約が必要になりやすいのは、食事つきのプラン(兆楽の日帰りプランは要予約)や貸切風呂です。妙乃湯では、日帰り客も1時間3,300円で貸切風呂を使えます。入湯税
温泉の利用には、市町村の入湯税がかかることがあります。地方税法では、入湯客1人1日150円が標準とされ、日帰り客の扱いは市町村ごとに決められています。神戸市では日帰りは75円で、共同浴場や一般公衆浴場の利用、利用料金が1,200円未満の日帰り入浴は課税されません。山河のように料金に含めているところもあれば、兆楽のように別に加算するところもあります。いくつも巡る
日帰りは湯めぐりのチャンスでもあります。山河の露天風呂は、黒川温泉の旅館の露天風呂から好きな3か所を選んで入れる木の「入湯手形」でも入れます。
温泉鬼での日帰り情報
施設のページには日帰り利用についてわかっていることが載り、地図では日帰りで入れる施設だけを表示できます。
施設のページで
「日帰り利用」の欄に、可否、入浴できる時間、大人の通常料金、そして最終受付や日帰り客が入れるお風呂などの補足が載ります。曜日によって時間が違う場合は、曜日ごとと祝日の時間を一覧で表示します。欄がなければ「不明」
「日帰り利用」の欄がない施設は、まだ情報がないということです。日帰り不可という意味ではありません。営業中かどうか
日本時間で入浴できる時間内なら「営業中」、時間外なら「営業時間外」と表示します。地図の「営業中」フィルターは、いま閉まっているとわかっている施設だけを隠し、時間がわからない施設は残します。地図で探す
地図のフィルターで、上部のよく使う絞り込みにある「日帰り」をオンにすると、日帰りで入れる施設だけになります。「宿泊」も選ぶと、そのうちの旅館とホテルだけを表示します。貸切風呂とタオル
「日帰り貸切風呂」は、宿泊客だけでなく日帰り客も貸切風呂を予約できるという意味、「タオル」は受付でタオルを借りられるという意味です。都道府県別の貸切風呂のページでは、日帰りで貸切風呂を使える施設の数も載せています。遠出の前に確認を
時間や料金は変わり、急に休むこともあります。遠くまで出かける前には、施設の公式サイトを見るか、電話で確かめましょう。
日帰り入浴ができる宿
泊まらずに入れる旅館・ホテルを各地方からひとつずつ。北海道の森から熊本の黒川温泉まで。各施設の今日の時間と料金も表示しています。
カタログの写真
ホテル浦島、勝浦温泉 七滝温泉ホテル、河津温泉郷 緑の風リゾートきたゆざわ、北湯沢温泉
七滝温泉ホテル (ななだるおんせんホテル)- 日帰り入浴 09:00–20:00
- 日帰り入浴 1,000円
- 貸切風呂あり(日帰りでも予約可)
- 露天風呂あり
- 混浴あり
- 硫酸塩泉・源泉54℃
黒川温泉 旅館 山河 (くろかわおんせん りょかん さんが)- 日帰り入浴 08:30–21:00
- 日帰り入浴 600円
- タトゥーOK
- 貸切風呂あり
- 露天風呂あり
- 単純温泉・pH 6.1・源泉49℃
よくある質問
- 泊まらずに旅館のお風呂に入れますか?
- はい、入れる宿はたくさんあります。旅館やホテルの日帰り入浴はたいてい有料で、一日のうち数時間、宿によっては曜日が限られたり予約制だったりします。受け付けていない宿もあるので、宿の公式サイトか、温泉鬼の施設ページの「日帰り利用」の欄で確かめてから出かけましょう。
- 日帰り入浴は何時から何時まで入れますか?
- 施設によって違います。旅館では、11時から14時のように昼前後の数時間に限られることが多く、最終受付は終了の30分から1時間前です。銭湯やスーパー銭湯は施設ごとに営業時間を決めています。行く日の営業時間と最終受付を確かめましょう。
- 日帰り入浴に予約は必要ですか?
- 入浴だけなら、受付で料金を払えば入れるところが多いですが、予約した人だけを受け入れる宿もあります。食事つきのプランや貸切風呂は、事前に予約することが多くなります。施設の公式サイトで確かめましょう。
- タオルは持っていったほうがいいですか?
- フェイスタオルとバスタオルを持っていくのが確実です。貸し出しや販売をしている施設や、タオルつきの日帰りプランもありますが、すべてではありません。
- 立ち寄り湯と日帰り入浴は同じですか?
- 実際には同じ意味で使われています。立ち寄り湯は旅の途中に立ち寄って入るお風呂、日帰り入浴は泊まらずに入浴すること。どちらも、部屋を取らずにお風呂だけを利用することです。
- 日帰りでも貸切風呂を予約できますか?
- 施設によってはできます。貸切風呂は宿泊客専用のことも多いですが、日帰り客も時間を決めて有料で予約できる宿や施設もあります。温泉鬼では、施設ページの「日帰り貸切風呂」か、都道府県別の貸切風呂のページで探せます。
関連する言葉
- 貸切他のお客さんと一緒にならず、決まった時間だけ貸し切って入るお風呂。別料金のことが多い。予約制のところも、空いていれば先着順で入れるところもあり、日帰り客は利用できない施設もある。
- 湯めぐり複数の温泉を巡ること。温泉街では専用の湯めぐりパスが販売されていることが多い。
- 湯治温泉を利用した療養。歴史的な文脈で使われることが多く、長期間にわたり定期的に入浴して病気の治療を行う「湯治場」の文化を指す。
- 銭湯都道府県が料金の上限を決めている街の公衆浴場。沸かしたお湯の銭湯が多い一方、自前の温泉を持つ銭湯もある。
- スーパー銭湯多種多様な風呂・サウナ・飲食・娯楽施設を備えた大型商業入浴施設。伝統的な銭湯の現代版。
- 休憩所入浴後にくつろぐための休憩スペース。畳敷きの座席、飲み物、マッサージチェアなどがある。
- 掛け湯湯船に入る前に、桶で湯をすくって足元や手から体にかけること。体の汚れを流し、湯の温度に体を慣らすため。かけ湯専用の小さな湯船を設けている浴場もある。
- 露天風呂屋外にある開放的なお風呂。自然の景色や季節の移ろいを楽しみながら入浴できる、日本の温泉の代表的な魅力。
- 温泉街温泉の源泉を中心に旅館・温泉施設・飲食店・土産店などが発展した地域。
次に読む
出典
- コトバンク「日帰り」(デジタル大辞泉)
- 国立国会図書館「第1章 湯治場としての温泉」(本の万華鏡 第23回)公式
- 環境省「温泉の保護と利用に関する懇談会」報告要旨(山村順次、2003年)公式
- コトバンク「ふるさと創生事業」
- 文京区「公衆浴場事業」(東京都の入浴料金統制額、2026年8月1日改定)公式
- 埼玉県「公衆浴場入浴料金の統制額の改定について」公式
- 静岡県「公衆浴場入浴料金統制額の改定について(令和8年1月1日から施行)」公式
- GO TOKYO「銭湯でリラックス」公式
- 地方税法 第701条の2(入湯税の税率)公式
- 神戸市「入湯税」公式
- 野沢温泉観光協会「野沢温泉 外湯めぐりガイド」公式
- 信州 渋温泉「日帰り温泉」公式
- 法師温泉 長寿館(日帰り入浴)
- 乳頭温泉郷 妙乃湯「温泉」
- 黒川温泉 旅館 山河「温泉」
- 南紀勝浦温泉 ホテル浦島「日帰り温泉」
- 洞爺湖温泉 ホテルグランドトーヤ「温泉」
- 有馬温泉 銀水荘 兆楽「日帰りプラン」
- 七滝温泉ホテル「日帰り入浴」





