温泉用語
足湯とは
靴を脱いで、裾をまくって、足を浸すだけ。寄り道で入れるお風呂です。
足湯あしゆ

どんなお風呂か
足湯は、腰かけて足だけを湯につけるお風呂です。浅い湯船や細長い湯の流れに沿ってベンチや縁があり、靴と靴下を脱いで、すねまで湯に浸します。辞書では「ひざから下を湯につけること」と説明されています。服は着たまま、予約もいらず、無料のことも多く、好きなときに切り上げられます。だから足湯は、人が行き交う場所によくあります。
温泉街の共同湯と同じ源泉を引いている足湯も多くあります。温泉法では、温泉を公共の浴用に供するには都道府県知事の許可が必要で、環境省はイベントなどで一時的に設ける足湯にも利用許可が要ると解釈しています。ただし、すべての足湯が温泉とは限りません。街なかの建物の足湯には、沸かしたお湯を使うものもあります。
一字ずつ見ると
- 足あし足首から先。脚全体を指すことも
- 湯ゆお湯。温泉では、湧き出た温泉そのもの
足だけで温まるわけ
湯につかるのは足だけでも、温かさは足にとどまりません。2009年に発表された看護学の研究では、健康な若い男性19人が40℃の足浴を15分間行ったところ、足と胸の皮膚温、足の皮膚血流量が、足浴後30分まで高いまま保たれていました。小さな研究で、測ったのは温かさであって、病気が治るかどうかではありません。
温泉をいちばん気軽に試せる入り方でもあります。温泉施設に掲示される入浴上の注意には、心肺機能の低下している人は全身浴よりも半身浴や部分浴が望ましいとあります。足湯はその部分浴の最たるもの。服を脱ぐことも、先に体を洗うこともなく、もう十分と思ったらすぐに上がれます。
足湯のある場所

足湯があるのは、人がちょっと足を止める場所です。温泉街の通り、駅、道の駅、観光地。
温泉街
温泉街には、通り沿いにいくつも足湯があることがよくあります。岐阜の下呂温泉には9か所あり、うち7か所は無料で誰でも利用でき、そのうち4か所は24時間開いています。山形のかみのやま温泉には5か所あって、どれも無料。足湯から足湯へと歩くのも温泉街の楽しみです。湯っつら広場、嬉野温泉
駅
長野の上諏訪駅では、駅のホームに足湯があります。JRの乗車券か入場券があれば利用でき、時間は9時から21時まで。鹿児島では、指宿温泉郷の玄関口であるJR指宿駅の前に、地元の有志が足湯をつくりました。道の駅
道の駅には足湯を備えたところもあります。鹿児島の道の駅たるみず湯っ足り館では、天然温泉かけ流しの長い足湯から、錦江湾ごしに桜島を望めます。足湯は12時から日没まで。足湯 (道の駅たるみず)、鹿児島県 足湯 (道の駅たるみず)、鹿児島県 足湯 (道の駅たるみず)、鹿児島県
カフェ
テーブルの下が足湯になったカフェもあります。福島の土湯温泉にある足湯cafe CASVALでは、靴を脱いで、源泉かけ流しの足湯に足をつけたまま食事ができます。営業は土日のみです。街なか
東京にもあります。港区のMoN Takanawaには、6階に草木に囲まれた半屋外の足湯テラスがあり、温かい湯のエリアと冷たい水のエリアがあります。利用は無料で、タオルは置いていません。観光地
見学に来た人のために足湯を設けている観光地もあります。入るのではなく眺める別府の地獄には足湯のあるところがいくつもあり、海地獄の足湯は入場者なら無料。屋根つきなので、雨の日でも入れます。
足湯の入り方
脱衣所もなく、服を脱ぐこともないので、決まりごとは多くありません。そのほとんどは、湯をみんなで分け合うためのものです。
小さなタオルを持っていく
タオルを貸し出していない足湯が多いので、足を拭く小さなタオルを持っていきましょう。売っているところもあり、山口の湯田温泉観光案内所でも、別府の海地獄でも買えます(海地獄は250円)。裾はひざの上まで
湯はすねからひざくらいまで来るので、座る前にズボンの裾をひざの上までまくるか、スカートや短パンで行くと楽です。靴下やタイツは脱ぎます。タイツは近くのトイレで脱ぐのがいちばん手軽。裾が上がりきらないときは、上がるところまでの深さで足をつければ十分です。まず手で温度を確かめる
手で湯加減を確かめてから、ゆっくり足を入れます。かみのやま温泉が5か所の足湯の湯温を測ったところ、39.5℃から43.3℃まで差がありました。湯を適度にかき混ぜながら入ると、温度が均等になるそうです。5分から10分
かみのやま温泉では、効果的な入浴時間を5〜10分程度としています。熱いと感じたら早めに上がり、靴をはく前に足をよく拭きましょう。座る場所をゆずり合う
縁に並んで座り、濡れた足で腰掛を濡らさないように。大きな声は控え、混んでいるときは順番に。かみのやま温泉が足湯のマナーとして掲げていることです。足を洗う場所ではない
湯はみんなのものなので、石けんを使ったり、湯の中で足をこすったりはしません。タオルを湯に入れないのは、ほかのお風呂と同じです。散策で足が泥で汚れたら、先に水道で流してから入りましょう。傷があるときは控える
温泉施設に掲示される注意には、目に見える出血があるときは入浴を避けるようにとあります。足に傷やただれがあるときは足湯は控えて、手湯で手だけ温めるのもひとつの方法です。
手湯(てゆ)
手湯は、その名のとおり手を温める湯です。小さな湯船や湯口の前に立ち、袖をまくって手を浸します。足湯ほど多くはありませんが、下呂温泉では温泉神社やJR下呂駅前などに手湯があり、足湯めぐりの途中で立ち寄れます。
足湯と手湯が並んでいるところもあります。箱根の彫刻の森美術館では、敷地内の源泉を使った全長約28メートルの足湯のそばに、源泉かけ流しの手湯があります。手湯なら靴を脱ぐ必要もないので、時間がないときやブーツの日にも気軽に温まれます。
別府駅手湯、別府温泉郷
わざわざ行きたい足湯
たいていの足湯は、湯の流れとベンチだけのシンプルなもの。なかには、それ自体が旅の目的になる足湯もあります。
ほっとふっと105(長崎)
雲仙市の小浜温泉にある足湯で、源泉温度105℃にちなんだ長さ105メートル。雲仙市は日本一長い足湯としています。ウォーキング足湯やペット足湯もあり、隣には野菜や魚介を温泉の蒸気で蒸せる蒸し釜が並びます。利用は無料です。清津峡渓谷トンネル(新潟)
トンネル入口のエントランス施設「ペリスコープ」は、2018年の大地の芸術祭に合わせてMAD Architectsが設計したもの。2階は足湯になっていて、天井の鏡張りの丸い開口部にまわりの景色が映ります。エントランス施設と足湯は無料で、トンネルは入坑料が必要です。清津峡渓谷トンネル 足湯、清津峡温泉 清津峡渓谷トンネル 足湯、清津峡温泉
峰温泉大噴湯公園(静岡)
河津町にある自噴泉で、100℃の湯が高さ30メートルまで噴き上がります。噴き上げは9時30分から15時30分まで1時間ごと、1回約1分。園内には無料の足湯があり、浸かりながら待てます。毎週火曜日と金曜日は休園です。
季節ごとの足湯

足湯は屋外や屋根だけの東屋にあることが多いので、天気や季節に左右されます。
冬
冷たい空気の中で足だけ温かい。足湯がいちばん心地よい季節です。冬は時間が短くなることも多く、上諏訪の湖畔公園足湯は12月から3月まで17時30分まで(ふだんは18時30分)、ほっとふっと105は11月から3月まで18時までです。歩き出す前に足をよく拭いて。山の足湯
山の足湯は山の季節に合わせて開きます。上高地温泉ホテルの無料の足湯は、ホテルの営業期間(4月下旬から11月中旬)だけ。清津峡渓谷トンネルは、例年1月中旬から2月末まで閉鎖されます。雨の日
雨で休む足湯もあります。白浜の三段壁の足湯は、雨の日はお湯を止めます。海地獄のような屋根つきの足湯なら、雨でも入れます。夏
暑い日は朝や夕方、あるいは日陰の足湯がおすすめです。冷たい水のある足湯もあり、MoN Takanawaの足湯テラスには温かい湯の隣に水のエリアがあります。清掃の日
決まった曜日や時間に清掃で入れなくなる足湯もあります。天童温泉の足湯は毎週月曜と木曜の10時から正午まで、峰温泉大噴湯公園は毎週火曜と金曜がお休み。足湯を目当てに予定を組むなら、事前に確かめましょう。
足湯に入れるところ
各地方からおすすめの足湯をひとつずつ。栃木の鬼怒川から、桜島を望む道の駅まで。
よくある質問
- 足湯は無料ですか?
- 無料のところが多く、とくに温泉街や駅の足湯はたいてい無料です。ただし有料の観光施設の中にある足湯は入場料が要り、上諏訪駅のホームの足湯には乗車券か入場券が必要です。足湯そのものに少額の料金がかかるところもあります。
- タオルは要りますか?
- 小さなタオルを持っていきましょう。タオルの貸し出しがない足湯が多いです(近くで売っているところもあります)。
- 足湯のお湯は温泉ですか?
- 温泉のことが多いですが、必ずではありません。温泉街の源泉を引いた足湯が多く、温泉を足湯に使うにも温泉法の利用許可が必要です。街なかの建物の足湯には沸かしたお湯を使うものもあるので、気になるならその施設のお湯の情報を確かめてください。
- どのくらい浸かればいいですか?
- 5分から10分で十分です。かみのやま温泉でも、足湯の効果的な入浴時間を5〜10分程度としています。熱いと感じたら早めに上がりましょう。
- タイツや長ズボンのときはどうすればいいですか?
- 靴下やタイツは脱ぎ、ズボンはひざの上までまくります。裾が上がりきらないときは上がるところまでの深さでつけるか、手湯があれば手を温めましょう。
- 足湯と足元湧出温泉は同じですか?
- 違います。足元湧出は、入っている湯船の底から源泉が直接湧き出していること。足湯は足だけをつけるお風呂です。共通しているのは「足」の字だけです。
関連する言葉
- 温泉街温泉の源泉を中心に旅館・温泉施設・飲食店・土産店などが発展した地域。
- 地獄極度の高温・沸騰する水・蒸気噴出などが見られる地熱地帯。別府が有名。通常は観賞用で入浴はできない。
- 足元湧出温泉源泉の真上に湯船が設けられ、足元から直接お湯が湧き出す温泉。
- 掛け流し源泉から湯船へ湯を注ぎ、あふれた湯を循環させずに流すこと。加水・加温・循環ろ過などを行う施設は、その旨と理由を掲示することが義務づけられている。
- 露天風呂屋外にある開放的なお風呂。自然の景色や季節の移ろいを楽しみながら入浴できる、日本の温泉の代表的な魅力。
- 日帰り宿泊せずに入浴料のみで温泉を利用すること。旅館やホテルでは日帰り利用ができない場合もあるので事前確認が必要。
- 湯めぐり複数の温泉を巡ること。温泉街では専用の湯めぐりパスが販売されていることが多い。
- 温泉卵温泉の湯や蒸気でゆっくり加熱した卵。温泉街の名物。白身はとろりとやわらかく、黄身はほどよく固まる。
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出典
- コトバンク「足湯」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)
- 金子健太郎ほか「足浴が生体に及ぼす生理学的効果:循環動態・自律神経活動による評価」日本看護技術学会誌 8(3), 2009
- 温泉法 第15条(e-Gov 法令検索)公式
- 長野県「温泉利用届(一時的足湯用)」公式
- 北海道「温泉入浴施設において安全に入浴するための注意事項」(環境省の掲示基準より)公式
- 観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース「足湯と手湯」(下呂温泉)公式
- かみのやま温泉観光協会「足湯」(足湯のマナーや入り方5箇条)公式
- 諏訪観光協会「上諏訪温泉」(上諏訪駅足湯・湖畔公園足湯)公式
- 道の駅たるみず 湯っ足り館
- 雲仙市「ほっとふっと105」公式
- 観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース「Teyu and Neyu at Akakura Onsen」(赤倉温泉の手湯と寝湯)公式
- 観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース「清津峡渓谷トンネル」公式
- MoN Takanawa「足湯テラス」







